永年に亘り、講談の研究誌として発刊されておりました「講談研究」が、発行人田邊孝治氏の「七十七歳の七月を区切りとしたい」というお考えで今年七月号を以って休刊となりました。
「講談研究」は、十二代田辺南鶴先生が昭和二十八年二月に創刊され、昭和四十三年六月、南鶴先生没後に田邊孝治氏が引継がれて通算五十四年間、六二九号まで発行され続けてまいりました。
芸界を見渡しても、一つの芸種でこれほどの長期間に亘る研究誌は見当たらないのではないかと思われます。田邊氏が引継いでからでも三十八年間。講談に関する研究誌を個人で毎月発行し続けるには、体力的にも経済的にも、大変なご苦労、ご苦心があった事と思われます。
「講談研究」には多くの先生方、講談界の諸先輩からの寄稿文をはじめとして、演題や出演録、御意見や批評など、貴重な記事が多く掲載され、芸能界の記録としても大事な資料です。すでに戦後の講談定席の殿堂であった「本牧亭」を知らない講釈師が多くなってしまった現在の講談界にとっても、大きな財産となるものです。
「講談研究」の休刊は誠に残念ではありますが、これまで研究者・編集人としての眼、耳で釈場に来られていたのを今後は、一人のご贔屓、愛好家としてゆっくり講談をお楽しみください。そしてまた、時には厳しく御意見もお願い致したく存じます。
田邊孝治先生、本当に長いことお疲れ様でした。また有難うございました。